時代は平成から令和に移行して、令和も5年目に突入しています。
西暦で言えば2023年ですが、物流業界では2024年問題が話題となっております。この2024年問題は改めて解説しますが、令和の時代が抱える企業の問題とは何でしょうか?リスクと保険の観点より解説します。
営利企業と検索すると、営利を目的として経営を行っている企業と出てきます。現在の日本の法人体系は2005年公布の会社法により制定されました。この2005年の会社法の公布から3年後の2008年3月に施行された法律が労働契約法です。この法律は個別労働関係紛争を解決するための法律と定義されています。
労働契約法の施行後、企業をはじめ我々リスクコンサルの立場もこの法律を比較的安易に捉えていました。平たく言えば甘く見ていたという事です。しかし世の中の移り変わりと同じくして、労働契約法が企業にもたらす重要性に気付いていきました。
労働契約法の特徴として、第5条に安全配慮義務が初めて謳われた法律だという事です。この安全配慮義務について『使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。』と定めています。これは裏返すと、労働者が生命や身体に危険が及んだ場合は使用者(企業)の責任となるという事です。これは企業からすれば大変重い法律です。
たいていの使用者(企業)は、日々の業務で想定されるリスクを認識して、そのリスクヘッジに努めていると思います。しかしどんなに注意しても、事故は起こります。その事故により従業員がケガをしたり不幸にもお亡くなりになったりする可能性はあります。
国は1人でも労働者を雇用する事業主は、国の制度である労災保険への加入を義務付けています。そして業務中に起きた事故により、労働者にケガ等があった場合はこの労災保険で補償することとなります。しかし労働者が負ったケガの程度により、国の労災保険の保険金では足りないケースが実例として出てきました。この背景にはいくつかの要因があります。ケガ等により社会生活が困難になった場合に掛かる費用の算定基準の見直し、物価の高騰、そしてあらゆる情報の取得に格差が無くなったことも大きな要因です。
この情報取得の格差が無くなった一番の原因は、労働契約法が施行された同年2008年に発売されたスマートフォン(以下スマホ)の存在です。スマホを使えば、いつでも・だれでも・どこでも同じ情報の取得ができます。
例えば雇用する従業員が業務中に誤ってケガをしたとしましょう!そのケガの治療費について企業は労災保険で補償してくれました。そこで補償された金額が妥当であるかをスマホで調べたとしましょう!検索結果にて補償された金額以上に補償する事ができる!というような弁護士事務所の広告を見たらどうでしょうか?また企業を相手に訴訟を起こしたら、もっと大きな賠償金の請求ができます!なんて言われたらどうでしょうか?多大な賠償金請求を助長してる訳ではありません!時間・立場・場所に関わらず、そういった情報をスマホで簡単に取得できる世の中になってしまったのです。
法律の変化と社会の変化が相まって、企業を取り巻く労働環境は一変しました。その結果、労働裁判も多数起きる時代となりました。この労働裁判により、企業側の賠償金額は上昇傾向にあります。一般的に裁判は過去の判例を元として、類似する内容であれば結果は同等以上となる傾向にあります。昭和の時代に業務中に起きた事故により、企業がケガを負った従業員に対して補償してきた金銭的な水準が令和の時代では通用しなくなっています。
【下記のリンクより過去の労働判例が閲覧できます】
企業は働く従業員とその家族を守るために、末永く安定して経営を継続していかねばなりません。その為には国の定める労災保険だけではなく、労災保険の上乗せ保険に加入するのが急務となっております。この労災保険の上乗せ保険には、業種や従業員数、その企業の特色や事業主の考えなどを反映して色々カスタマイズする事ができます。インシュアランスヘルプデスクでは企業様の潜在的リスクを洗い出し、その企業に合った上乗せ保険をご提案しております。今ある目の前のリスクも重要ですが、目に見えない潜在的なリスクに対して事前に対処しておくのは、令和の時代に生きる企業のあるべき姿ではないでしょうか?
世の中にある保険商品は、事故が起こってからでは補償できません!必ず事前の準備が必要です!
Written by eiki